ポイントカードはもう古い!?現代に求められる新しい施策!

飲食店、レンタルビデオ、行政サービスなどあらゆる分野において活用されてきたポイントカードだが、近年ではポイントカードの飽和、面倒な取り扱いを背景にその使用頻度が変化してきたように思う。

もちろん減少傾向にあるということだ。

今回は、ポイントカードが生まれた背景や、今後どのようにポイントカードが進化していくのか、事例と共に確認していきたい。

 

ポイントカードの歴史と問題

ポイントカードは1900年代の初頭にはすでにあったと言われているが「ヨドバシカメラ」が発行しているポイントカードには「このシステムはヨドバシカメラが始めに考案しました。」という記載がある。

誰が考案したかは特に問題ではないので、元祖はヨドバシカメラである。という事にしておこう。さて、今一度、ポイントカードの持つ役割の確認からしていきたい。

ポイントカードのいい所は、店側にとっても、(形の上では)消費者にとってもメリットがある所だ。

お店側にとっては、ポイントカードを作れば消費者はそのポイントを目当てにして、店舗に複数回来店してもらうきっかけになるし、ある程度のポイントまで貯まり、何かしらのリワード(報酬)がある場合は、特にすぐ必要でないものでも購入してくれる可能性もある。

あるいは、顧客データの管理をして自分の店舗にとって優良な顧客の囲い込みが行えるという利点もある。

また、同業他社の方が多少値段が安い品があったとしてもポイント目当ての消費者であれば自分の店舗でまとめて買ってくれる。などのメリットが考えられる。

一方、消費者からみても例えば消耗品など必ず買わなければいけない日用品を買う事でポイントが貯まっていき、何かしらのリワードや割引が受けられるのであればうれしい。

これらがポイントカードを持つ(発行する)一番のメリットだろう。しかし、どこかの店舗がよいマーケティング方法(この場合はポイントカードの発行)を行えばそれを真似する店舗が出てくるのが当たり前だ。

そうこうしているうちに、紙媒体で作るポイントカードは巷に山ほど出回り、完全な飽和状態となった。しかも、消費者の囲いこみという意味合いをもつポイントカードは入会の段階で「入会してポイントカードを作ると割引されます」という触れ込みがよく使われるようになって流通はさらに加速していった。

その結果、どの店舗もポイントカードを発行するものだから、財布の中は常にパンパン。特に女性はポイントカードが好きな傾向にあるので、大きな財布がレシートとポイントカードで埋め尽くされている。という方もいらっしゃるだろう。

 

使われなくなったポイントカード

出典:unsplash.com

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しかし、消費者の動向というのはその都度、お店の選択肢が変わるのが普通だ。

例えば、職場の近くで買う日があったり、自宅の近くで買う日があったり、ドラックストアでまとめ買いをする日があったり、その時のお財布事情や利便性によってお店の選択は変わってくるものだ。

つまり、お店の思惑通り毎回決まった店舗で商品を購入する消費者の方が稀であるといえるだろう。

その結果、ポイントが貯まるのは牛歩のように遅くなり、お店側もポイントが貯まる商品は安売りしないなどの営業努力をする為、ポイントカードのメリットがどんどん薄れていく結果になった。

しかも、紙媒体で作成するポイントカードは確かに店舗側からすれば安価で簡単に作れる。しかし、消費者側はそれをいつも持ち歩く必要があったり、財布の整理をしているうちに紛失してしまったりもする。

その時、後一歩で満了になるポイントカードを紛失してもデータが残っているわけでも、何かしらの方法でポイントがもうすぐ満了になる事を証明するすべもなく、損してしまう事例だってあるだろう。

そうなればポイントカードがあるからあの店舗で買い物をする。という店舗の選択方法よりも欲しい物品を販売している所を探して、さらに一番安い所で買い物をしたほうが結果的に割安で買い物が出来るのでポイントカードの必要性は更に少なくなってしまった。

 

ポイントカードは紙から電子媒体へ

けれど、店舗側も手をこまねいて待っているわけではない。大手であればグループ内の店舗は全て共通のポイントカードでポイントを貯められるようにしたり、紙媒体ではなくてプラスチックカードにして紛失を逃れるようにしたり、あるいは貯まったポイントの使い道を商品との交換などではなく、購入金額の割引をするなどほとんど現金と変わらない使い方を出来るようにするなど様々だ。

しかし、そういった取り組みによって消費者の行動に劇的な変化が起こったかといえばそうともいえないだろう。なぜならポイントカードというものは、そもそも使う人が限られるものだからだ。

お買い物の度にポイントカードを出すのは面倒くさいし、まだあのポイントカードあったかな?とレジの前で財布を取り出すと他の人の迷惑になるし、貯まるポイントもたかがしれているし別にいいか。と考える人もたくさんいる。

だから、これからのポイントカードは如何にしてこの煩雑さをなくし、見つけやすくできるか、が大切だ。その点、「スマートフォン」のアプリを活用すればポイントカードの紛失もしないし、ポイントも貯めやすくなる。

また、話の腰を折ってしまうかもしれないがSNSなどのサービスがこれだけ普及した昨今なのだ、ポイントカードを絶対に発行しなければいけないということはもちろんない。

ようは前述している 顧客の囲い込み、再来店の促進、客単価アップが図れたらいいわけだ。それはfacebookでもツイッターでもいいのだ。

 

ポイントカードの役割を持ったツール

出典:unsplash.com

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では具体的にポイントカードに変わるアプリやSNSのサービスなどを確認していこう。

例えばいまやスマホ保持者の9割が使用しているといわれるアプリ「LINE」だ。

運営会社はLINEのほかに飲食店や中小企業などのビジネスを加速させるLINE@というサービスを出している。しかもこのサービスのほとんどは導入時、無料で活用する事ができるので導入もしやすい。

使用方法を簡単に説明すれば、LINEの機能+ビジネスのサービスといえる。

LINEと同じように自分の店舗のアカウントページやタイムラインを作成し、顧客から友達申請をもらう事でLINE@内で決められた会員に向かって情報を発信する事が出来る。

その他にも、会員へPRクーポンを作る機能や、今回の焦点となっている自店舗のポイントカードも簡単に作成する事が出来るのだ。

加えてお店の予約もLINE@内で出来るし、自分のアカウントページやタイムラインをどのくらいの人が見にきているのか?といった事も確認できるリサーチ機能も備わっている。

あまり、資本を持たない中小企業や飲食店の経営者にはおすすめのアプリだ。

もちろん、前述の通り、facebookを活用してもいい。Facebookでも同様に店舗や企業のページを設ける事が出来る事は広く知られている事と思う。

しっかりとしたポイントカードがなくても会員の人が見てくれていればタイムラインでPRを出せば済むし、ポイントを貯める事にこだわりがなければ、定価よりも割引されるイベントを開催すればカードは必要ない。そしてこういった取り組みは、ツイッターやインスタグラムなど、どんなツールでも出来るのだ。

以上の事例からわかる事は、単純なポイントカードを作るアプリやそれに代わる情報発信ツールは山のように存在している。という事だ。

話を整理すると、ポイントカードを発行する目的は、顧客の囲い込み、再来店の促進、客単価アップを図ることであったはずで、ポイントカードを作る事ではない。つまり、ポイントカード形式の顧客取り囲み方法はすでに昨今の消費者には受け入れてもらえないものになっているといえる。

前述しているが、つまり「規模の経済」が活かせない中小企業などは新しい取り組みを始める必要があるといっていいだろう。

例えば、10年以上続く不況の荒波を乗り越える為に、大手の企業は統廃合を重ねて、三菱、ソニー、楽天、そしてポイントカードの話になれば必ず出てくる「Tポイントカード」なども同様だが、大手はその資金力を活かして生活必需品、家電、レンタルビデオ、飲食店、服飾店などの分野でもグループ企業を持っており、ポイントをためる事で、それらすべての店で割引を受けられる。という大手ならでは方法をとり、ポイントの価値を高める事に成功した。

しかし、この方法を中小企業が行う事はやはり難しい、どこで買ってもポイントが貯まり、どこでも使えるからこそ意味があるのであって、10店舗以上のイタリアンレストランを保有しているからとって、そのポイントカードが使えるのは結局、イタリアンが食べたい時に限られるわけだ。

 

ポイントカードに代わる施策

出典:unsplash.com

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結局のところ、規模の経済を活かす事ができない大きさの企業ならば、地道に自分たちの「売り」を作って運営を行っていく方がよいだろう。

例えば、飲食店なら24時間営業にしてみたり、いままで注力していたランチをやめて他の事を始めてみたり、あるいはコストをぎりぎりまで削ってよい品を安い値段で出す代わりに営業時間を4時間か6時間だけにしてみたり、という事だ。

あるいは、いままで無料で会員になれるという売り文句を捨ててコストコのように年会費を取るけれど、それを補って余りある魅力的な商品を販売してもいいかもしれない。

もしくは居酒屋などであれば、楽しい雰囲気、おいしい料理・お酒を提供している自信があれば登録制を導入してもいいかもしれない。会員制ではなくて登録制顧客だ。

居酒屋という性質上、会員でなくては入れません。という敷居を設ける事はよい事ではない。フラッと立ち寄る人もいれば2件目としてほろ酔い加減で来店する顧客もいるのだから、その時に「会員」でなくては入れないとなればケンカやいざこざになってしまう事もあるだろう。

だから顧客の許可を得て、名前や飲んだもの、食べたものを登録する登録制の顧客制度を作るのだ。居酒屋は詰まる所、楽しい場でなくてはいけないし、毎日おもしろい事がある夢の空間だから人が集まるわけだ。

その最たるものがイベントだろう。お店にダーツがあれば大会を開いていてみてもいいかもしれないし、店員がお勧めする焼酎を飲めば割引が受けられるといったイベントも面白い。

しかし、イベントというものはお店本位になる場合がほとんどで、こちらのお勧めはこれです。今日のイベントはこれです。という提案に参加したがる顧客が多いほど売り上げが伸びる、というのが現状だ。

この時、決まった法則で登録してあるデータがあれば、イベントももっとたくさん打てるようになるだろう。イベントは集客に対して爆発力がある反面、お店本位のイベントになれば当然偏りが生まれてくることになるし、それについてくる顧客にも偏りが生まれてしまい、その偏りの中でさらにグループが出来てしまい、仲の良いイベントであればあるほど、来店数は頭打ちになってしまう。

登録制のデータを活用する場合なら、本当に単純な事でも構わない。登録してある名前が「か」行の人は割引、登録してあるお気に入りの酒が「芋焼酎」の人は割引、趣味が「映画鑑賞」の人は割引、などお店の種類や店員・店長の趣味にもよるがそういったイベントを毎日のように開催する事ができればお店本位だけでなく、顧客にも立脚したイベントを多く開催する事ができるのでおもしろいかもしれない。

 

まとめ

ポイントカードの歴史を紐解いて、大手以外ではポイントそのものに価値を見出せなくなってきている事を確認してきた。

すでに記事でも述べているように今後は、誰かがしている事を真似する事で売り上げを伸ばす。という事が難しくなってくるといえるだろう。結局、マーケティングは自分の所にあった、自分達ならではの方法を取る事で売り上げを伸ばす方法以外は通用しなくなるのだ。

だからこそ、マーケティングは面白い。けれど従業員とこういったイベントや、新しい取り組みを一緒に考えていくことができない雰囲気が、自社の店舗に、そして企業にあった場合、まずはその改善が急務だ。

飲食店やサービス業の数が増えれば当然、自然淘汰が起きるものであるが、生き残りをかけて努力する楽しい企業・店舗が増えてくれることは消費者の立場からみると非常にうれしい。

 

【執筆】 山田 博保 Yamada Hiroyasu

一級建築士としての経験を活かした不動産投資家向けのコンサルティングやWEBサイトを複数運営。株式会社アーキバンク代表取締役。建築・不動産業界に新たな価値を提供する活動を行う。詳細は公式メールマガジンより。Facebookはこちら

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